「なぜピーチ姫は自力でクッパ城から脱出しなかったのか?」
2020年の(個人的)ベスト書籍。
今や私たちにとって当たり前の存在である「民主主義」。
しかし、私たちが普通だと思っていたそれは
実は、本当の意味での「民主主義」ではないかもしれません。
読み終えた頃には冒頭の問いに新たな視点が生まれるはずです。
・新たな視点を身に付けたい人
・昨今のジェンダー問題に興味のある人
こんなひとにおすすめです!
では書籍紹介、いきましょう!
本の概要
いわゆる「主流」の政治学、それは大学の講義や政治学の教科書などで説明されているもの。
投票制度や立候補制度について、「一般的」な説明で政治学の知識をつけるためのものです。
本書は、その「主流」の政治学を「ジェンダー目線」を用い、批判・検討していく流れです。
・なぜ女性の議員は男性より少ないのか?
・「女らしさ」「男らしさ」は法律にどう影響するのか?
・議員は本当に国民を平等に代表しているのか?
このようなジェンダー目線から見えてくる日本の政治・法律への疑問を
海外・日本のデータを用い、段階的に説明・検討していきます。
本書を読み終える頃には、冒頭の
「なぜピーチ姫は自力でクッパ城から脱出しなかったのか?」
という問いへの自分なりの新たな目線が生まれているはずです。
政治はもちろん、世界の見え方が変わる
今まで私たちがどれほど無頓着に世界を眺めてきたか。
ジェンダーの視点を導入したら、これまでには見えなかった男女の不平等が見えてきます。
伴って、今までは民主的に見えていた日本の政治が、あまり民主的には見えなくなります。
本書で登場する日本の民主主義システムを例にとって、すこし日本の民主主義のおかしさを考えてみましょう。
日本の民主主義システムは、成人した男性と女性に平等に参政権(投票権)が与えられており、さらに女性の議員立候補も認められています。
その点で考えると、日本は民主主義が進んでいると言えるでしょう。
さて、これは本当でしょうか??
確かにまだ世界では女性の参政権すら認められていない国もあります。
しかし日本は、先進国の中でも女性の立場が弱い国として知られているのです。
「女性の参政権も立候補も認められているのに、立場は弱いの??」
こう考えてしまいますよね。
僕ももちろんこう考えてしまっていました。
しかし。
日本の民主主義には、「女性はいない」と言っても過言ではありません。
なぜなら日本の議員の女性比率は、国民全体の女性比率よりも遥かに低いからです。
この現状は明らかに、女性は議員によって「代表」されていません。
結果、男性優位(家族より労働者有利)の法律が採択されたり、男性が稼いで家族を養うのが当たり前というような意識のもと女性の社会進出が妨げられたりしています。
さらなる「民主化」には、さらなる女性の議員への進出が必須なのです。
このようにジェンダー視点から政治を見てみることは、今まで考えていなかったような視点から「本当の意味での民主的とは?」や「これから日本はどうすべきか?」という物事を考えられるようになります。
もちろん、「ジェンダー視点」は普段の生活にも適応可能です。
女子高生がスカートを履くのが普通だと思っていませんか?
マリオがピーチ姫を助ける構図が普通だと思っていませんか?
この本がそのような「ジェンダー目線」を養うことに一役買ってくれるでしょう。
本書では「政策」「投票」「労働」「政党」などの様々な視点から日本政治を見つめ直します。
読み終わった頃には、冒頭の問い
「なぜピーチ姫は自力でクッパ城から脱出しなかったのか?」
を、ジェンダー目線でぜひ議論してみましょう。
それも終われば、確実に私たちの中には新たな視点が生まれているはずです。
さいごに
以上、『女性のいない民主主義』の紹介でした。
・新たな視点を身に付けたい人
・昨今のジェンダー問題に興味のある人
どんな方にも読んでいただきたい、ジェンダー問題の入門書です。
あなたも私も、より多くの視点を身に付けてこの世界がもっと良くなりますように。
そう願っています。
ではまた!!
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