日本語ラップを聴くのが100倍楽しくなる名曲紹介!!
今回はPUNPEE / Wonder Wall feat. 5lackの紹介・考察記事です。
歌詞や曲の背景を交え、家族・兄弟愛に溢れたこの名曲を紹介・考察します。
ではいきましょう!!
曲の概要解説 〜歌詞の素晴らしさとピアノの美しさ〜
今年リリースされたPUNPEEのEP『The Sofakingdom』から、ラスト曲『Wonder Wall』の紹介。
実の兄弟である5lackと共に程よい距離の兄弟愛に溢れた名曲を作り出した。
その曲としての完成度もさることながら、PUNPEEらしく色々な背景が絡まり合った一曲となっており、知れば知るほど鳥肌が立つ、そんな作品です。
その複雑な背景を整理し、この曲に込められた兄弟の程よい距離感・愛を読み解けたらなと思います。
また、この曲のピアノをメインとした音楽性の部分も紹介できたらなと思います!
*ただのヒップホップ好き大学生の考察ですので、気づけていない点や間違っている点はあると思います。お気づきの点があればコメントで教えていただけると幸いです。
↓過去にPUNPEEさんの紹介をした記事です!
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歌詞
超ガチ!!曲の解説
さあ、いよいよ曲の解説・考察に入っていきます。
兄弟愛の歌詞仕掛け
冒頭でも触れましたが、実の兄弟が歌うこの曲は兄弟愛に溢れています。
歌詞交えて紹介していきます。
「たまたま(偶然)」と、「玉々」をかけています。で、兄弟だから、穴兄弟。
たまたま同じ=玉々同じ、男性についているあの玉のことですね。男兄弟であることの暗喩だと思います。
意味を通しながら韻を踏み、下品に兄弟を歌う。
簡単に見えて、超離れ業です、これ。
彼らの実家は東京都板橋区。
割と田舎で、23区の「端くれ」ですね。
でも違う、俺らは「はしっこ」ではなく、時代の最先「端」なのさ!と。
いやーーー、この言葉遊びにはマジで惚れ惚れ。
もし俺ら兄弟を2で割った時に、最高のアーティストじゃなくてもいいじゃん。
あー、この緩い感じ。
肩肘張らず生きよう、そうPUNPEEさんから言われてるよう。
しかもこれ、弟の5lackへのアンサーリリックなんです。
5lackさんの大人気曲、『Hot Cake』(2009年)より、
「俺のいいとことお前のいいとこを
足して2で割りゃ最高 最高だと思うよ(5lack)」
兄を認めた上で、「俺らって最高の兄弟じゃね?」と言わんばかりの5lackのこの歌詞。
この歌詞の10年越しのアンサーが、『Wonder Wall』というわけです。
俺らは俺らでいいんだ。最高じゃなくてもいいじゃん、俺らが認め合っていれば。
ああ、もう泣けてきますね。
弟から兄へのメッセージ。
「世間の目やイメージなんて気にしないで、兄貴は兄貴のやり方でやれよ。」
ああ、なんていい弟なんでしょう。しみじみ。
そしてこちらも、過去の曲のPUNPEEさんのリリックへのアンサーです。
『いいんじゃない』(2010年)より、
「自分のことなんて自分で決めたら?
人の目は お前を試しているだけさ
表情なんてただの壁 Wander Wall(PUNPEE)」
歌詞に『Wonder Wall』と入っていることからも分かるように、
このPUNPEEさんのリリックと呼応していると考えています。
こちらも10年越しの兄弟間のメッセージ。もう心が震えます。
ストレートに兄弟と家族への感謝、愛を歌っています。
こちらは5lackさんのバースのラストですが、感謝で締めるあたり、
やはりこの曲は、愛、溢れてますね。
ちなみに文中で抜粋した2曲(『Hot Cake』『いいんじゃない』)、どちらも最高の曲です。
ぜひ聴いてみて下さい。
曲タイトルはOasisのサンプリング?
*こちらも恐らく公式にはされていない、ファンとしての憶測にすぎませんのでご注意を。
兄弟愛を解説したところで、この曲のタイトルを考察してみます。
いきなりですが、イギリスの伝説的バンド『Oasis』をご存知でしょうか?
1991年結成、「Rock`n Roll Star」「Whatever」などの名曲を残し、2010年に解散したバンドです。
そのOasisには、リアムとノエルという兄弟が所属していましたが、
実の兄弟である2人は、仲がとっっても悪いことで非常に有名でした。
実は、そのOasisは『Wonder Wall』という名曲を歌っているのです。
Oasisの『Wonder Wall』には、こんな歌詞が出てきます。
「I don’t believe that anybody feels the way I do about you now
(俺ほどにお前を想う奴なんて誰もいないだろうな)」
この歌詞が、同じバンドの兄弟に向けて歌われた歌詞がどうかは分かりません。
しかしOasisのリアム・ノエルと同じように、実の兄弟であるPUNPEEと5lackが
Oasisの名曲のタイトルをサンプリングすることによって、
Oasisの象徴でもある「兄弟」というテーマを自分たちの曲でも際立たせようとしたのではないか、
と考えられます。
さすがPUNPEEさん、昔の名曲をも自分の世界へと引き込んでしまう。
もうここまでくると何も言えません。凄い。
歌とラップのいいとこ取り
そろそろ2000字を超えたあたりですが、まだこの曲は語れます。
今までは文学的な面、リリックやタイトルに注目してきましたが、
ここからは曲としての、音楽性の話をしたいと思います。
この曲は非常にメロディアスで、曲としてはラップというよりpopよりな印象を受けます。
それでもコアなhiphopヘッズにも支持される理由として、
ただの歌ではなく、メロディアスなラップとコアなラップの良いところ取りをしているから、ということが挙げられます。
まずは、1バース目、PUNPEEさん。
もともと、PUNPEEさんはメロディーを作るのが天才的に上手いです。
彼のメロディーはシンプルながら非常に頭に残ります。
『Wonder Wall』でもそれは炸裂していて、
「それでもいつものように またお洒落して」
のところなんかはHOOKと言われてもおかしくないようなメロディのまとまりと広がり。
そしてHOOKの
「それでもいつものように またお洒落して」
ここなんか今までのhiphopの曲の中でも5本の指に入るくらい綺麗な旋律なのではないでしょうか。
でも彼の凄いところはこれだけではない。
冒頭でも述べたとおり、メロディアスだけでないラップの良いところどりもしているため、さらにメロディーが引き立つんです。
先ほどの
「アナログばかり掘って 俺は刺青ばかり掘って」
のメロディラインのあと、スパッと切ってラップを始めます。
いや、このメリハリ!!!
このメロディアスな部分とそうでない部分の切り替えも天才的に上手いのが
彼がpopなヘッズからも、コアなヘッズからも支持される理由だと思いました。
次に、もちろんHOOKは最高なメロディー。
PUNPEEさんにHOOKを任せたら必ず95点以上のものが出来上がる現象に名前をつけたいです。
そして2バース目、5lackさん。
この曲では5lackさんの方がよりコアなラップを進めている印象。
彼のバース始め
「いつもそうでしょ?変わらないかも?」
の箇所ではあえてトラックのメロディーラインを無くしてラップを引き立てています。
それにより全体的にメロディアスなこの曲に新鮮さが生まれています。
一方、「君が凡人なら凡人」の箇所ではかなりメロディーを意識しています。
バースの後半で適度な抜け感を作り、曲調に合わせた雰囲気を出しているの、
5lackさんもさすがとしか言いようがないです。
ピアノ発。PUNPEEさんの変態的トラック
お次は天才PUNPEEさんの作り込まれたトラックについて。
まずイントロは、ピアノの心地よい音色から始まります。
母のピアノを弾いているとの噂もありますが、確証はないです。
でもPUNPEEさんならそのくらいの小技はかけてきそうですね。
そんなピアノの音の裏にはPUNPEEさんのコーラスが。
この曲は全体を通じて、(まあPUNEEさんの曲はほとんどそうなんですが)
主メロディーの裏に様々な音が仕組まれているんですね。
それによって、曲に適度な抜け感というか、一体感が生まれている。
他で言うと「一歩下がるDJはお前のお下がり」のところなんかは、
大胆に「ぷう〜〜〜〜〜!」みたいなボイパのような音(名前忘れました、すみません)を入れています。
これが気持ち良いのなんの。
その時の歌詞や生まれる情景までを少ない効果音で操作してしまう。
いやーーーーPUNPEEさん恐ろしい。
ピアノの音色とドラムの低音がハーモニーを奏で、全体的に非常にキャッチーで親しみやすいトラックになっています。
曲を聴く際はぜひトラックにまで気を配っていただきたいと思います!!!!
さいごに
好きなだけ語っていたらすっかり長くなってしまいました。
でも、PVのことなど、まだ語れます。
この記事の反応が良ければ続き、書こうかな…(笑)。
とにかく、曲の背景や歌詞の深さ、トラックの細かい音にまで注目して曲を聴けば
1000000倍くらい音楽が楽しくなると思っています。
それを教えてくれるこの曲。
マジで恐ろしくなるほどに魅力の詰まった名曲です。
ぜひ参考にして聴きまくってみてください〜〜〜!!!
ではまたー!!
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