「まだテレアポ ・飛び込み営業なんてしてるの?」
対面での営業がなくなるのは、そう遠い話ではない…
これが本書の主張である。
コロナ禍で一気に非対面化が進んだ、商品を売り込む営業活動。
正直なところそれだけで仕事の効率化という面で大きな成長だが、
視野を広げてみると、さらに進んだ「営業不要」という世界がある。
・なぜ営業は無くなくなっていくのか?
・無くなったら、今の営業職はその世界でどうすればいいのか?
本書はこんなことを教えてくれる未来指摘書です。
本記事では本の概要と「なぜ営業が無くなっていくのか?」という点にフォーカスして進めていきます。
ではいきましょう!
本の概要
タイトル:営業はいらない
著者:三戸 政和
出版社:SB新書
出版年月:2020年2月15日
ページ数:214
読了目安:4-5時間
実は、古典的な「営業」は誰も得しない。
確かに確実に業績を伸ばせる手法ではあるけど、非効率であり、本当の意味での顧客満足には結びつかない。
本書では、まず初めに以上の事実を論証した後、
・世界はもう「営業不要」で成功し始めている
・テクノロジーが営業を殺す
・営業マンはどこへ向かうのか
という事実や問題を論じ、
「営業・営業マンは近いうちに無くなるだろう」という結論に至ります。
そして後半では「営業がなくなった世界」で現在の営業パーソンはどのような行動をとっていくべきか、という方法論まで落とし込んでいます。
・現在の「営業」という職に不安を持つ人
・これから「営業職」に就こうとしている人
・これからの世界の動きを知りたい人
こんな人たちにおすすめです。
なぜ営業は無くなっていくのか?
世界はもう「営業不要」で成功し始めており、
その波で「営業」がいらなくなるのは遠い話ではない、というのが本書の主張の一つです。
ではそれを理解するために、まずはこの問いから始めましょう。
なぜ現在、営業という戦術は必要なのか?
確かに。普通に使っている「営業マン」という言葉ですが、なぜ商品を売るために積極的に「営業をかける」ことが必要なのでしょうか?
本書によれば、それは会社の戦略が誤っているからだといいます。
そしてこれからの会社に必要なのはエクスペリエンス戦略とも述べています。
これらを実際の会社を例に出して説明していきます。
まず最初に、トヨタを例に出します。
大量消費・大量生産の好例として世界一の自動車メーカーに上り詰めたトヨタですが、そのビジネスモデルゆえに業績は傾きかけています。
トヨタは「性能の良い車を安定的に供給する」という戦略を取っているため、それを売り込むための戦術として「営業マン」を多く抱える必要があります。
営業という職自体が業績を伸ばす上で効率が悪い(この証拠も本書では示してあります)上に、近年のカーシェアリングやuber等の発展も相まって、自動車の消費活動は落ち込んできています。
つまりトヨタは同じような「供給ベース」の戦略を長年取り続けてきたゆえ、非常に苦しむはめになっています。
反対に、優れた戦略を持つゆえに業績を急激に上げているのがアメリカのテスラです。
顧客の体験を、継続して最大限にするためのエクスペリエンス戦略を採っています。
トヨタと根本的に違うのは
魅力的な商品を作り、顧客に目を付けてもらうことで
営業なしでも多くの人に愛され売上を出している、という点です。
いわゆるプル型マーケティングですね。
営業活動が不要になり、ディーラーを介す必要もなくなったテスラ社は大幅なコストカットに成功し、低価格とさらなる開発への投資を実現させました。
その結果、創業13年でアメリカの自動車会社時価総額トップに躍り出る成長を見せています。
このように、近年大きく成功している会社の中にはすでに「営業不要」の考えが浸透しています。
これは今までで述べてきたように「戦略」レベルでの違いから生まれるものであり、
これからの世界ではテスラが採用しているような顧客体験ベースのエクスペリエンス戦略がさらに進み、それに伴い営業マンの減少も進んでいくでしょう。
と、いうのが本書の「営業不要論」の論理です。
書評まとめ
正直、本書に書いてあるような世界の変化はそこまで急激に起こらないような気もします。
日本とアメリカでは世界観や文化も違うので、アメリカほど急激に「営業マンが不要になる」世界への移行は進まないと考えられるからです。
しかし、ここ数年の世界は私たちが知る通り思いもよらぬスピードで変化しています。
現在大学生の私も、生きているうちに営業という職業がなくなる可能性があることに恐怖を感じております。笑
そういったことも鑑みると、本書のような未来を先取りしてくれるような本は将来のキャリア形成に非常に役に立つものだと考えています。
全てを鵜呑みにするのではなく、あくまで参考にしつつ未来を考えていければ良いなというのが僕の感想。
ではまた!!
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