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【読書の宴】コロナ禍は「熟成期間」-『立ち止まって考える』

書評
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「立ち止まることも、時には大切かもしれない」

どうも。HKです。

今回はテルマエ・ロマエの作者でもあるヤマザキマリさんの

たちどまって考える』の紹介・書評記事です!

「混沌とした日々を生き抜くには?」

「パンデミックの後に見える景色とは?」

ではいきましょう!

本の概要

タイトル:たちどまって考える

著者:ヤマザキマリ

出版社:中公新書ラクレ

出版年月:2020年9月10日

ページ数:245

読了目安:3-4時間

コロナパンデミックで、立ち止まることを余儀なくされた社会と私たち。

イタリアなどでの海外暮らしが長く、常に走り回ってきた著者は外出自粛により、9ヶ月も日本に滞在したのは大人になってから初めてだといいます。

そんな、コロナ禍で「初めてたちどまった」著者が、

実はたちどまることは必要だったんじゃないか??』と考えました。

コロナパンデミックででさらに混沌とした日々を生き抜くには?

自分の頭で考え、自分の内面を強くすることが必要。

そのために、一回たちどまってみようよ。

著者の強いメッセージのこもった一冊です。

この記事では、印象に残った箇所著者のメッセージが強く伝わる箇所

ピックアップしてお届けします。

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「不要不急」に象徴される日本人の曖昧さ

今年3月くらいから嫌でも耳に入ってくるようになった「不要不急の外出は控えて」の言葉。

でも、「不要不急」の線引きってどうやってするんでしょうか?

実は、そこに線引きはないんです。

それが日本の曖昧さ、つまり『空気』に任せた抑圧の幼稚さだと著者は語ります。

イタリアの場合は、ロックダウンの際に明確に「外出原則禁止」との令が出され、

やむを得ない外出の際には外出証明書を持たないと罰されるような状況でした。

一方の日本は、ロックダウンこそしたものの

「不要不急の外出は控えてください」との声明が出されただけ。

それって、「行ってもいいけど、感染したらあなたの責任ですよ?」という

日本特有の『空気』に任せた圧力で対策をしているだけじゃ?ということです。

しかし著者は、この日本の対策を非難したいのではありません。

「不要不急」という曖昧な言葉を出すくらいなら、

はっきりと「日本はソフトな感染対策でいきます!!」と言えばいいんじゃないのか。

そう断言されることによって、国民の緊張感は高まりますし、自己責任という意識も強くなったんじゃないのか。

その日本の曖昧さを指摘しているのです。

そして、著者が最も伝えたいことは、

このような私たちの特質を、今一度たちどまって考えてみては?』ということ。

この例でいくと、日本人の「曖昧さ」という特質ですね。

良い悪いの判断ではなく、今まで見過ごしてきた事象を、見つめ直す必要がある

家にいる時間も増えたことだし、自分の頭で考えてみよう。

それが自分の内面の強さに変わっていくんだよ、と伝えたいのではないでしょうか。

自分の根幹を強くする日々

14世紀ヨーロッパ、キリスト教支配の暗黒期からの文芸復興(ルネサンス)や

日本の戦後の経済成長のように、

今のコロナパンデミックは、今後成長するための熟成期間です。

ルネサンスは全ヨーロッパ的な文化・芸術の再興で、

戦後に関しては日本という国自体の経済的な復興です。

が、そこで今回のコロナパンデミックで試されるのは、個人的な復興です。

人間一人一人が見えない敵に拘束され、「」を体験したからこそ、

上記の二例のように「強さ」に昇華する。

今はまだその準備期間です。

でも、どうやってこの「負の体験」を強みに昇華すればいいのでしょうか?

ぼく的には直接的・間接的の、大きく2つあると思っています。

まず直接的とは、このコロナショックを直接的に自分の強みに変えるということ。

もう少し言えば、「今後何があっても動じない強さを作ること」です。

この期間で改めて重要視された、情報を取捨選別する能力

環境の変化に対してのストレスを発散する能力

急速にIT化した社会に対応するITリテラシー

このようなコロナ禍で直接的に浮き彫りになった、足りない能力

この際にたちどまって鍛えちゃおう、というのが直接的な昇華方法です。

一方、間接的とは、もう少し人によるものかなと思います。

それは、「できた時間を自分のために有効活用する」ということです。

著者は芸術家なので本や漫画、映画に没頭したそうですが、

ビジネスマンであればセミナーやビジネス書、はたまた趣味を見つけたり、

大学生であればオンラインのインターンに参加したり、資格の勉強をしたり。

コロナショックで出来た家での時間を、間接的に自分のために使おうよ、

というのがぼくが考える間接的な昇華方法です。

ぼくもコロナ禍で、「有り余る時間の中で自分が自信を持ってやったことを人に胸張って言えるように過ごす」

という目標を立てて2020年を過ごしました。

これは、家での時間が増えたからこその目標だったと思います。

この「非日常」をポジティブに自分の根幹を強くするために生きること。

それが大事だと改めて教えてくれる本でした。

さいごに

このコロナパンデミックは、

「おい、人間!!!そんなんで生きていけるのか!!!」

と、何者かに試されているような気が、個人的にはしています。

ぼくのこれからの就職活動でも、この期間は捉えようによっては無二の強みになりますし、

長い目で見ても、貴重なスキルをじっくりと得られる時間だと考えています。

「たちどまる技術」、この本を手にとってぜひ身に付けてみてください。

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