2021年1月1月リリース、梅田サイファーからのお年玉。
『HEADSHOT pt.2』の全歌詞を紹介し、その素晴らしい歌詞を解説します。
言わずもがな、全員エグいです。8人でマイクリレーするこの曲、誰のバースも飽きない。
ただ聴くだけでも痺れるこの曲を、拙いながらも解説してみようと思います。
梅田サイファーお得意の「韻」から歌詞の意味、背景までできるだけ網羅しています!
全て網羅するのは僕の頭には不可能&凄まじい量になってしまう
ので、抜粋してお伝えできればなと思います!!
是非最後までお付き合い下さい〜!
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歌詞
PV・試聴リンク
解説・考察
PVからわかりますが、今回はどうも「戦場」をイメージしているようです。
中でも戦場で重要な役目を果たす「スナイパー」を意識した歌詞となっています。
テークエム
オートチューンを利かせ、非常にクセのある曲の入りです。
病みつきになりそう。
このリリックから、本曲はゲームの「グランドセフトオート(Grand Theft Auto, GTA)」の世界観をイメージして作られていることが分かります。
Carl Johnsonは「グランドセフトオート:サンアンドレアス(GTA:SA)」に登場する架空のキャラクターです。
ふぁんく
申し訳ありませんが、彼のバースは凄まじすぎて(もちろん他の方もですが)僕の頭では理解できない韻が多すぎます。ご容赦ください。
「賛美と阿鼻叫喚浴びる旅 ブチ抜く時計の針
橋で密かに検問張り待ち受けるカルマ全て殲滅し
戦場ain’t nobody エイムの鬼再び」
いやあ、凄まじい韻、、、、
序盤は「a・i(あ・い)」の韻で畳みかけます。
ふぁんくさんの凄いところは、分かりやすい韻も分かりにくい韻も同時に生み出してなんかよく分からん間にグルーヴが凄いことになっている点だと思います。
うわあああああ、凄い!韻踏んでるってことだけはわかる!!どこかは分からんけど!!!脳が気持ちええええええ!!!
みたいな状態ですね。
「賛美・阿鼻・旅・針」とかは分かりやすいですが、
「(ひそ)かに・(no)body・(ふた)たび」とか、固有名詞で踏まないところが好きです。
「ヘイター小便漏らす ヘッズは昇天・トランス
狂気のホーンテッドハウスと化すダンスフロア」
「小便漏らす・昇天トランス・ホーンテッドハウス」で踏んでいます。
ヘイター⇔ヘッズ、小便漏らす⇔昇天・トランスで対比させて完全に意味を通して踏んでいるのが最高に気持ちいいですよね。
R指定(HOOK)
さすがとしか言いようのないフック。
聴いた事のないような圧巻のフロウで曲にアクセントを付けています。
「赤レンジャー打ち抜くジョンデリンジャー
離れ技次から次連射
エントランス爆破燃ゆる天守閣」
「ジョン・デリンジャー」は20世紀でFBIから「社会の敵NO.1」と言われた銀行強盗犯。
脱獄や銀行強盗を繰り返し、警察を1人殺してしまった事で不名誉な称号を与えられました。
彼の最期が「射殺」だったことから、「俺はそんな犯罪者をも撃つ事のできるスナイパーだ」とでも言わんとする感じ。自信に溢れていて良いですねえ。
リリック的にも非常に耳障りの良い単語で、聴いていて非常に気持ち良いです。
「ジョンデリンジャー・連射・天守閣」で語感踏み(完全踏みではないが発音を工夫する事で踏んでいるように聞こえさせる高等テクニック)をしています。
特に「天守閣」を「テンシュカッ」と発音する事で気持ち良さが増しています。
R指定さんのスキルが光っている見所です、、!
KBD
言わずと知れた押韻主義。
今作でもその特異なライミングが目を引きます。
「全国行脚 JOB兼バケーション
各地で変死 要現場検証
捜査線上動かせん証拠
ヘッドフォンの奥残す線状痕」
まずは「JOB兼バケーション・要現場検証」の最高品質バリカタライミング。
『KBDさんがいつも通りKBDさんしてる』とコメント欄で言われているように、このレベルの押韻が普通になっているのがKBDさんの凄さを物語っていますよね。
さらに、「バケーション・現場検証・(捜査)線上・(動か)せん証拠・線状痕」で完璧に押韻。
美しい。渋い声質と相まって、美しい。
Kenny Does
相変わらずフロウがかっこいいケニー氏。
小節区切って跨いで韻踏んで区切って跨いで…
こんな歌い方、常人なら頭がとっ散らかってしまいそうです…
「さっさと撃鉄を引いて 消す迷い
チェックする 各部 動作
guess who’s back 俺らゲリラ豪雨」
いや、頭韻(語尾で踏まずに文の頭や途中で踏む韻)が気持ちいいのなんの。
「鉄・消す・チェック・ゲス(guess)」の「e・u(え・う)」でさらっと踏んでますが、めちゃくちゃ凄いです。
ケニーさんのラップがダントツで気持ちいいと言われている理由は頭韻にあるのでは?といつも思っております。
KZ
落ち着いた低声で脚韻しまくるライマーさん。
Kenny氏のように流れるようにフロウし韻を踏む対応とは正反対で、小説を短く区切り圧倒的に脚韻で攻める、正統派押韻主義です。
本作でもKZさんの真骨頂とも言える韻が出ています。
「合わす照準 息呑む呼吸
悪魔の狙撃手 銃声が響く
火薬の刺激臭 激痛は一瞬」
小説を短く区切ることでその短い秒数の中で脚韻を目立たせるKZさんの常套手段。
「u(う)」の音で全ての文を終わらせています。その中でも「しゅ」の音が多く、メリハリの効いているのでついつい前のめりになって聴き入ってしまいます。
「致死率100% 死に至る病
全貌は見せない 霧がかる山
絶望をレクチャー 粋がる馬鹿へ
殺れたきゃ コールミー リリカルマダラー」
これはもう歌詞をみてもかっこいいし、ただ聴くだけでもかっこいいし、パラダイス。
「死に至る病・霧がかる山・粋がる馬鹿へ・リリカルマダラー」で完璧に脚韻しています。
しかも「全貌・絶望」で頭韻を混ぜ込んでいます。
こんなに韻を踏んで表面上の歌詞を映えさせて意味も通して…ってもう常人の域を超えています。
KOPERU
KZさんの落ち着いた声から一転、高音でスピーディーにフロウするコペルさんへ。
この辺りのペース配分も梅田サイファーは本当に緻密にやっていますよねえ…
「一丸となりテメェの鼓膜にワンショット
ミスターサイコマン2度殺すツーショット
thank youBABY安らかにスリーショット
バンバン五臓にめり込ますファイブショット
ろくにセンスねぇなら脳天にシックスショット
七面倒なヘイター黙らすセブンショット」
「ワンショット」から「セブンショット」まで文中に数字を盛り込む(ワンショットなら「一」丸のように)数字ネタを披露。いやー、言わずもがなですが高スキル。
あれ、でも4が無くない…??
僕も最初聴いたときは「これコペルさんミスったんじゃ??」と思いました。
「てめぇの眉間に風穴数えな 俺には「死」はないはずだからな」
なるほど!!!
コペルさんに「死(4)」はないはずだからか!!
さすがすぎます!!!鳥肌!!
そしてコメント欄でも言われているように、
この歌がスナイパーをテーマにしていることもあり、ジョジョのグイート・ミスタをモチーフにしている可能性があります。
彼は凄腕のスナイパーで、「4」という数字を嫌悪しています。
梅田サイファーの皆さんはこの辺の引き出しが意味わからんほどあるんですよね。
他の曲でも本曲でも、多分誰も気づかないような仕掛けがされてたりしますこれは。
peko
ビートメイクからラップ、DJまでこなすただのイケメンさん。
例に漏れず今作も最高にかっこいいです。
「still あげる 反逆の狼煙
再び揃う8人のsoloist
いつまで経っても覚めぬ熱り
HEADSHOT Part.2 響くアンソロジー」
「狼煙・soloist(ソロイスト)・熱り(ほとぼり)・アンソロジー」で超硬くて気持ちいい脚韻。ふうウ。。。。
歌詞に目を向けても、「再び揃う8人のsoloist」「響くアンソロジー」がえぐいです。
実は梅田サイファーは、一員であるR指定さんが普段はCreepy Nutsとして活動しているように、「梅田サイファー」としてのユニットでいつも一緒にいる、というわけではありません。
しかし、いざ梅田サイファーというsoloist(独演者)集団が集まれば、日本で一番のアンソロジー(異なる作者による作品集・詩歌集)を作りますよ、と言わんばかりのこのリリック。
マジで美しい。あああ。
さいごに
長さの関係でこの曲の全ての良さを伝え切ることはできませんでしたが、
魅力は伝えられたのかな、と思います。
特に僕が好きなのはKZさんとpekoさんのバースです。
梅田サイファー、いつまで経っても最高ですね。
他の曲もぜひ聴いてください。
ではまた!!
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