「この世からオフラインは存在しなくなる。」
どうも。HKです。
今回は『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る』を紹介します。
世界でデジタル化が急進する中、
「いま世界でどんなデジタル革命が起こっているのか?」
「具体的な事例は?」
「日本企業が生き残るためにはどうすればいいのか?」
といった疑問に答えられる本です。
本記事でも、かいつまんで要点を紹介します。
こんな本です
『思考のデジタル化』ができていない日本のビジネスパーソンに警鐘を鳴らす本です。
『アフターデジタル(=オンラインとオフラインは境目がなくなる)』
という考え方に基づいたビジネスモデルの紹介を通じて、
日本企業がデジタル世界においてどんな視野を持つべきなのかを展開します。
小手先のプログラミングスキルを身につけるなんかより、
この本を読んで、世の大局を理解する方が先だと思います。
本の概要
タイトル:アフターデジタル-オフラインのない時代に生き残る
著者:藤井保文、尾原和啓
出版社:日経BP
出版年月:2019年3月
ページ数:197
読了目安:3-4時間
『アフターデジタル=オフラインがない世界』とは?
まずはタイトルにある、『アフターデジタル』の説明から。
ビフォーデジタル:オフラインが中心で、そこに付加価値的にデジタル世界がある
=リアルとデジタルが少しだけ重なっている
(例)いつもはユニクロのリアル店舗で買う人が、たまにオンラインストアで買い物をする
アフターデジタル:オフラインが存在しなくなり、オンライン−オフラインの境界がなくなる
=リアルがデジタルに内包されている
(例)普段はzoomでミーティングをし、たまにリアルで商談を行うが、
都合の良い方法を適宜選ぶので区別は特にない
と本書では定義されています。
今の日本ではビフォーデジタルの世界が主流であり、
これからアフターデジタルへの転換をしなければ生き残れない、という趣旨です。
なぜアフターデジタルへの転換が必要なのか?
顧客により良い体験を提供し続けなければいけないからです。
その「より良い体験の提供」においては、
「顧客データを取る→品質向上」というループを高速にしなければいけません。
常にオンラインとつながった世界=アフターデジタルでは、
常に顧客のデータを取ることができるので、このループをより高速に回すことができるのです。
つまり、顧客により良い体験をしてもらうための顧客データを常に取り続けるために、
常に人がオンラインと繋がった世界を作り上げなければいけない、ということです。
中国の医療アプリ、『平安グッドドクター』を例を挙げます。
このアプリは病院予約やオンライン往診ができるアプリですが、
顧客体験のためのデータを集めることができるという点で非常に優れたものです。
一日一回、その日に歩いた歩数を換金できるできるという機能があるのですが、
この機能は利用者に一日一回、必ずアプリを開かせることができます。
そうすると、非常に高い頻度で顧客の行動データを採ることができます。
その行動データをもとに、顧客に営業をかけたり予約先での病院で効率的に診察を進めるなど
顧客体験をより良いものにし、さらに多くの顧客に使ってもらえるようにできます。
このように、より良い顧客体験のためのデータを採る工夫をすることは
会社の事業拡大に直接的に作用させることができるのです。
アフターデジタルでは、何が必要なのか?
高頻度接点による行動データと体験品質向上のループを回すこと。
ターゲットだけでなく、最適なタイミングで、最適なモノを、最適な形態で提供すること。
『高頻度接点による行動データと体験品質向上のループ』に関しては、
先ほど挙げた『平安グッドドクター』の例のように、
アプリを開かせたりして顧客との接点の頻度を上げて、大量の行動データを採ること。
そして、そのデータを活用しより良い顧客体験を提供すること。
このループだと説明しました。
『ターゲットだけでなく、最適なタイミングで、最適なモノを、最適な形態で提供すること』は、
『形態によらずに、常に顧客に寄り添うこと』と言い換えられます。
その顧客が欲しいモノを、欲しい形態でいつでも提供できるよう、
オンラインでもリアル店舗でも関係なく顧客に寄り添うことがいい顧客体験といえます。
そのためには行動データを取り、『この地域の人はこの店舗形態でこの商品を欲しがっている』
みたいな情報を手に入れなければいけないのです。
その結果、オンラインストア・リアル店舗・出張サービスというようなくくりが必要なくなり、
アフターデジタル=オフラインとオンラインの境が無くなる世界に収束していきます。
日本企業はどうするべきなのか?
とりあえず『アフターデジタルへの転換』が必須です。
つまり、『ものづくり』から『顧客への寄り添い』に。
『製品志向』から『顧客志向』に。
全社戦略から事業・製品まで変えていく必要があります。
全社戦略やビジョンレベルでは、
とにかく商品を売って利益をゲットする、というビフォアデジタルの思考から
顧客に寄り添い、データをゲットしてさらに顧客に寄り添い、結果的に利益が生まれる
というアフターデジタルの思考への転換が迫られます。
事業・製品レベルでは、
広いターゲットに向けてマス広告を打つ、というビフォアデジタルの思考から、
得た顧客データをもとにその人にだけ向けて広告を打ち成約率を上げる、という
アフターデジタルの思考への転換を迫られています。
全ては、「より良い顧客体験」のため。そのための「さらなるデータ採取」のため。
この意識の転換をしなければ、すでにアフターデジタル化が進んでいるアメリカや中国の企業に
売り上げが追いつくことはないでしょう。
書評まとめ
今まで『企業のデジタル化』と言うと、
メインはリアル店舗だけどスマホを使う人が増えたからオンラインでも出品する、というような
リアルの中の一部がデジタル化される状況しかイメージできませんでした。
と言うか、ほとんどの日本人がそうだと思います。
そのビフォーデジタルの思考を、
『顧客の利便性を高めるため、メインをオンライン店舗に。
決済から得た顧客データを活かし、この地域ではリアル店舗を出店するようにしよう。』
にする。
こんな感じの意識の転換が必要なのだと思います。
「顧客体験をより良いものに。」
そんな文句は最近よく聞くようになったけど、その本質まではわからない。
そんな人にぜひ読んでいただきたい一冊です。
デジタル化に取り残されないように。
小手先のスキルを学ぶより、まずはこの本を読んで世の大局を理解してみてはいかがでしょうか。
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