「2040年には、独身者が人口の5割になり、既婚者は3割になる」
この事実は、現在の20代の皆さんには衝撃なものでしょう。
「一人で生きる」ことが当たり前になると予想される将来の日本で、私たちはどのように生きればいいのか。本書はさまざまなデータや知見からそのヒントを得られる対談書です。
本の概要
タイトル:「一人で生きる」が当たり前になる社会
著者:荒川和久×中野信子
出版社:ディスカバー携書
出版年月:2020年12月
ページ数:277
読了目安:5-6時間
前半部分では独身者と既婚者のそれぞれの生き方について、人の孤独とは何か、など「個人」にまつわることについて。
後半部分では独身者と集団、多様性といった社会的なテーマに移行していきます。
孤独で生きることを余儀なくされるこれからの社会で、私たちは自分とどう向き合い、社会とどう接していけばいいのか。そこに明確な答えがあるわけではありません。
しかし、本書は未来の孤独者にとって明らかに重要な視点を盛り込み、未来の孤独社会にとって必要な情報源であることは間違いありません。
綺麗なノウハウではなく、私たちの人生のヒントとなるような視点を得られる良書です。
自分とは何か?個性とは何か?〜なぜみんなスタバでMacなのか?
現代人は、セルフブランディングに囚われすぎて、窮屈だ。
荒川氏はこう語ります。
『俺は家にいても、会社にいても、道を歩いていても同じなんだ』とこだわり、終始一貫している自分でいなければいけない、という思考に陥り窮屈になっている若い人が増えてきている。
極端に言うと、「自分はこうあるべきで、こう言う服を着て、こう歩かなければいけない」と言う強迫観念みたいなものに、世間からの目然り、自分のプライドみたいなもの然りに囚われてしまっていると荒川氏は言います。
現に就活でも会社内でもなんでも、「一貫した人物像」みたいなものが美徳とされているのは、皆さんが認めることでしょう。
確かに一貫した人物であることは良いことだと思います。信頼を得られますし、それだけで魅力的ですよね。
でも、その一貫さに囚われすぎると窮屈になってしまうんです。
これは特に「意識高い系」と言われる人に顕著な傾向だと言います。
「行動を一貫させることで自己が形成される、人格が作られる」と言う考え方の一貫で、なんとなくキラキラしたイメージの「スタバでMac」みたいなものに拘ってしまう。
自分だけの唯一無二を無理やり作ろうとした結果、同じような人間が大量生産されるという、なんとも皮肉な結果に終わってしまうのがこの「無理したセルフブランディング」の悪いところです。
しかも「真面目で優秀な自分」だけで終始一貫してしまうと、だらしない自分を開示できなかったり、弱気なところを他者に開示出来ないという他の悪い側面もあります。
そして、その「真面目な自分・だらしない自分・弱い自分」などなど、自分の多面的な部分をされけ出すこと、それこそが本当の「個性」と呼べるのではないでしょうか。
「個性」とは、「特徴」ではなく「アイデンティティ」ではないのか。
つまり、自分とは何か、というのは「一人の中の多様な人間性」なのではないでしょうか。
「一人の中の多様な人間性」を認めることが、より自由に生きることのヒントになるのではないか、と僕は思いました。
だって実際、私たちは誰でも環境や場面、相手が変わるだけで人間性・人格という名の仮面を使い分けています。
では、なぜそれをわざわざ一貫させる必要があるのでしょうか?
全員が全員人格を使い分けているのなら、なぜそれをあえて隠すのでしょうか?
自分の中の仮面を認めてやり、多面的な自分を受け入れること。
孤独さが増す世の中で一つのヒントになる考え方だと思います。
・セルフブランディングに囚われすぎると窮屈だ
・個性とは、自分の中の多様性を認めることではないか
・多面的な自分を受け入れることは生きるヒントになりそうだ
以上、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』の概要紹介と、興味深い部分を参考にした書評でした。ぜひ読んでみてください!
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