「人生の全てを受け入れた上での、人生全ての肯定。」
本書を読み終わった直後の僕の感想です。
持病や愛する人との決別など、壮絶な人生を送り、「神は死んだ」や「超人思想」などの数々の名言・思考を残した、ドイツの哲学者、ニーチェ。
『超訳 ニーチェの言葉』が日本で大ヒットを収めたこともあり、割と馴染み深い名前なのではないでしょうか。
本書はニーチェの基礎となる思想を体系的に網羅してある、超良書です。
本記事ではそんなニーチェ思想の入門書、『ニーチェ入門』を紹介します。
彼の論理の基礎となる「解釈」の問題と、最後に僕が読了後に感じたことを書いていきます。
本の概要
タイトル:ニーチェ入門
著者:竹田 青嗣
出版社:ちくま新書
出版年月:2017年11月
ページ数:237
読了目安:5-10時間
ニーチェは徹底したキリスト教批判、ヨーロッパ哲学批判をし、
「人間はいかに生きるのか?」という命題を追います。
「ルサンチマン」「永遠回帰」「超人思想」「ツァラトゥストラ」「ニヒリズム」など彼の基本的な思想・論理を一通り理解できます。
今「私はどう生きるべきなのか」と困っている人にとっては、
生きる希望を与えてくれる、そんな本です。
興味深い思想【この世に『事実』は存在しない?】
「事実は存在しない。
ただ、多様かつ無数の解釈だけが存在する。」
これはニーチェの有名な言葉で、彼の論理の核となる部分の思想です。
「事実は存在しない」なんて、ぶっ飛んだ論理ですよね。
正直ちんぷんかんぷんだと思います。
これを本書の記述を参考にし、簡単に説明してみます。
「事実は存在しない」とは、
「真理なんて存在しない」「完璧な認識なんて存在しない」と言い換えることができます。
例えば、机の上にリンゴが乗っているとします。
飢えたひとは、そのリンゴを見てすぐにかぶりつくかもしれませんが、
そうでない人はそのリンゴを無視するかもしれません。
こう考えると、そこには「リンゴがある」という「事実=真理」は存在せず、
各々による「命をたすけてくれる果実」や「ありふれていつでも手に入る果物」などの
リンゴへの「無数の解釈」しか無いというのです。
つまり、あるものが「何であるか」という「認識」はその対象に向き合う「肉体=身体=欲望」によって決定されます。
「事実=完璧な認識=絶対的な解釈」は存在せず、
「無数の解釈=身体・欲望の数だけある解釈」しかこの世には存在しない、というのがニーチェの主張です。
この考え方が彼の最大の思想である「力への意志」へと繋がります。
続きは本書にて。
「ニーチェ入門」の感想
とりあえず難解でした。
入門書であれど、読了までにめちゃくちゃ頭使いました。笑
本書は非常に体系的に流れが分かりやすくまとめられていますが、ニーチェの思想そのものが難解で抽象的な部分が多い為、理解するのに苦労しました。
しかし最後は彼の「ポジティブ哲学」とも言える、
『人生の悪いところも良いところも全てを受け入れ、極限まで落ち込んでも何かに縋ろうともせず、しかしそこから確実に得られる一筋の希望だけを肯定して生きなさい』という抽象的、しかしつから強いメッセージに感銘を受けました。
*ここだけ読んでもあまり理解できないとは思いますので、興味のある方は書籍やネット記事を読んで見てください!あくまでこの記事は書籍の紹介記事とします!
例えば、コロナ禍で大学の授業がオンラインになり、友達もできず、家にこもってばかりで希望が見えない。
そんな時でも、何かに逃げるのではなく、一回その状況を、悲惨さを受け入れてみる。
そこから見えた微かな希望を自分なりに「解釈」し、結果的に人生を、悪いところも良いところもひっくるめて肯定する。
そんな生き方を教えてくれる「ニーチェ入門」でした。
ではまた!!
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